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「明日は休む」と決めた日のこと

Sunの物語
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現在小3のSun。

彼女の担任の先生は、20代の体育専門の男性の先生です。

Sunの1年時は60代のベテランの女性の先生で、

2年時は20代の中性的な雰囲気の優しい男性の先生だったので、

声が大きくて、「お前ら、いくぞ~~!」というような体育会系のタイプは初めて出会います。

彼は、元々中学校の先生から教員生活が始まり、その後小学校に赴任。

6年生→1年生を経験されて、小学校3年目だそうです。

4月当初、宿題アレンジの件で個別懇談した際に、真摯に対応していただけたので安心していました。

しかし…

7月23日からの4連休明けの月曜日。

いつもと同じ5時くらいに起床したSun。

Sun
Sun

頭痛い・・・。

と暗い顔で訴えます。

熱は平熱ですが、休むと決めました。

7月に入って3回目のお休みです。

1、2年の時は1年間通して、2回ほどしか休まなかったのに…です。

その日は、午前中ずっと寝ていて、

昼に帰宅した私とご飯を食べて、

弟妹が帰ってくると、連絡帳を確認して、

授業内容のフォローと、宿題を済ませました。

あとは普段通りに日課を過ごした夜のことです。

本読みを終えて、電気を消した後

Sun
Sun

明日の朝、5時に起こして。社会のテストあるんだった。方位のことまだ覚えきれてないから確認しなきゃ。

と話し出して。

Sun
Sun

あ~、学校か~。班長だからまた「2班!準備が遅い!」とか怒られたらヤダな~。

とここ半月ほど何度となく出てきた話をし始めました。

今学期、班長決めをする立候補の際にSunは初め立候補しなかったそう。

というのも、2年時の3学期も班長になって、班の人が準備が遅かったり、

ふざけていたりすると「班長は注意するように」と、

班の統率をすることへの負担を感じていたからです。

しかし、先生から「あなたなら大丈夫!ぜひ立候補してみて」と背中を押され、

選挙に参加することにし、班長に選ばれたのです。

班の人は5人中3人が男子で、結構やんちゃだということ。

授業の準備もせずに遊びに行ってしまうので、

Sunが班長としてやってあげている、ということもしていたそうです。

しかし、その行動は相手を依存させてしまい自立を阻むことになるよ、

と注意をするだけで、手は出さない方がいいことをアドバイスしました。

その結果「〇〇くん、最近は自分でやるようになった」と言っていたのです。

Sunは班の人が怒られると、自分が責められているような気がして、疲れてしまう・・・

ということも7月16日の懇談で話しました。

先生からも「Sunさんは、班長としてよく班をまとめていてくれますよ。大丈夫!」と声がけも頂きました。

・・・でも学校での過ごし方も、

10分の業間休みも水を一口飲むだけで、すぐに席に戻って次の時間の準備をして、

教科書やノートを開いて待っている、と話していました。

それは「早く席につきなさい!」と怒られたらイヤだから。

Sunの中ではやはり「怒られる」ことに恐怖感に近いものがあることを感じていました。

班長だから怒られたらイヤだな~と話し始めて20分くらいでしょうか。

怒られることへの恐怖感を感じたきっかけの出来事をついに話し始めたのでした。

Sun
Sun

7月の初めころね、算数の終わりの時に、計算ドリルやってたんだけど、先生が「終わりにして、配りものする」っていうのをね、聞こえなかったの。

そしたら、「早くしまいなさい!!」って怒られちゃったの。
怖かった・・・(´;ω;`)

横になっていた身体を起こし、抱きついて泣くSun。

「怖かったねぇ」とマネで返しつつ、

ずっと心に深く刺さっていたトゲはこれだったのか、と分かったのです。

私はここで、階下にいる夫を呼びました。

私

Sunがね、先生が怖くて学校行きたくないって言ってるの。
Sunは、授業でドリルとかやってるとものすごく集中しちゃって、周りの音が聞こえなくなることがあるの。
前も、漢字ドリルに取り組んでいる時にすぐ上で先生が扇風機のスイッチを入れて、「ガチャっ」て音にびっくりして、椅子から飛び上がっちゃったことがあって。

集中すると、素の状態になっちゃうんだろうね。
ドリルやってる時に、急に先生に大きな声で「早くしまいなさい!」って言われて、びっくりしたのも原因だろうね・・・。

きっと先生は怒るつもりでいったんじゃなくて、普通に言った声でも元の声が大きいから、素の状態になったSunには恐れを感じるくらい突き刺さったんだろうな・・・。

夫

そうだったのか~、ずっと何か変だなって思ってたよ。
朝学校行く足取りが重いよな、何かあったんだろうな。

と夫もSunの様子の変化には気づいて気にしていたのでした。

Sun
Sun

明日は学校行かない。…でも明日休んだらあと夏休みまでの3日は頑張る。

と宣言するSun。

私

明日休むのは分かったよ。でもこのこと、何らかの形で先生に伝えなきゃね。
思っていることは、伝えないと変わらないからね。
どうする?先生に直接言うか…それとも教頭先生に伝えて担任の先生に話してもらうか。

Sun
Sun

う・・・ん。教頭先生に先に話して欲しい。

私

分かった。じゃあ、手紙書くわ。下書きしてくるからちょっと待ってて。

いつも娘が大変お世話になっております。

本日7月に入って、4度目のお休みをしております。
その理由について、事情を説明したくお手紙差し上げました。

7月の初めの算数の授業の時間、計算ドリルをやっていた時のことです。
娘は集中していたために「終わり」の指示を聞き逃してしまい、
一人だけドリルに取り組んでいたところ、
強い口調で「早くしまいなさい!」と言われたことに
非常に傷ついてしまいました。

それからというもの、それまで友達とすこしおしゃべりをしていた業間休みも、水を一口飲むだけで席に戻り、怒られないようにしなきゃ、
というのが学校の中での最優先事項になっている状況でした。

このように過剰に神経を張り詰めているため、
班長として自分の班の子が注意されるだけでも、
まるで自分が叱られているかのように感じ、神経をすり減らしてきたようです。

親として、学校とは学習の場であるという以前に、
社会にでるためのストレス耐性をつける場である、と考えています。

色々な人がいて、色々な価値観に触れるなかで、
自分の生き方を確立していく、ということを願っています。

過敏すぎる、休ませるのは「甘やかし」では、というご指摘もあるかと思います。

しかし、幼いころから私たち夫婦は子育てする中で、
「命令口調」はしないこと。

「~しろ!」というのはその子の人格を否定し、強制することであり、
言葉の暴力である、という考えであるからです。

あとは命の危険がある場合以外、強い口調で言葉を投げつけない、ということにも極力気を配ってきました。

大きな声や強い口調に慣れておらず、それだけで緊張してしまいます。
こういう場面も大人になる過程では、当然出会うことです。
今は、そのための成長途中であります。

繊細さを失わないままに、ストレスから心を守り育てていく本人を支えるのが親の役目だと思っています。

ですから、今日のようにたまに心を休ませる日があることをご承知おきください。

ただ、担任の先生は非常に教育熱心でいらっしゃり、授業も工夫され、
「先生の授業は面白いから楽しみ!」と娘が言っておりましたこと、
大変感謝しています。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

 
と、こんな内容のお手紙を書きSunと夫と、「この内容にしよう」ということで固めました。

翌朝、夫が午前休をとってくれて朝イチで学校に行き、教頭先生(50代位の女性)にお手紙を渡してくれました。

そして私が昼過ぎに職員室に連絡帳を取りに行くと、教頭先生からお話をいただきました。

「ご丁寧にお手紙をいただき、ありがとうございました。

お母さんが仰ることは本当にその通りなんです。

10人いれば皆顔が違うように、言葉の受け取り方も違う。

そんなつもりはないのに、言った言葉がその子を傷つけることもある、

それを担任としては知っておかなければいけないことを話しました。

こうして率直にお話下さったことは、担任本人の教員としての在り方を

みつめるいいきっかけにもなりました。

ありがとうございました。」

と私たちが願った形で、担任の先生にお話しくださったようです。

そして、帰宅してSunに話すとホッとした様子でした。

私

明日は行くって決めてるんだよね。どんな気持ち?

Sun
Sun

う~ん、先生に「なんで休んだんだ?」って言われたらどうしよう・・・。

私

心配だよね。だから夕方に先生Sunに会いにくるって。
先生から直接「大丈夫だよ」って言われたら安心するもんね。

Sun
Sun

うん、分かった。

Sunは家中をキレイに整え始めました。

夕方に家庭訪問して下さった担任の先生。

Sunは「きっとコーヒーが好きだと思う」と自ら淹れてくれました。

そして、担任の先生は、

「計算ドリルの時の話、僕としては全然怒ってなくて、

軽く「終わりだよ」って言ったつもりがそんなに怖く聞こえたんだね。

ごめんね。

僕も気を付けるけど、たまにそうなっちゃってたら

「先生さっきのは、怖かった。傷ついたよ」って言って欲しいな。

先生に言うのは難しかったら、お母さんでもいい。

誰かに話せたら楽になるよね。」

Sunは先生のお話をうなづきながら聞いていました。

こうして30分程お話下さり、

先生がお帰りなる頃に夫も帰宅して、挨拶してお見送りしたのでした。

先生がお帰りになったあと、

分かって下さって良かったね、とSunに声をかけると、

「うん」と軽くなった笑顔を見せてくれました。

今回のようなトラブルも、

まずはマネで返してありのままを受け止めること、

そして9.5歳まであと半年程度となっているSunですから、

対応についてはSunと夫と3人で相談しながら、解決策を練りました。

今回のことを通してSunは、

抱えきれない思いはきちんと吐き出せば楽になること、

親はもちろん、

周りの大人はしっかりと受け止めてくれることを感じた経験ではなかったかな、と思います。

このあと2日元気に登校してきてくれました。

今日は1学期最終日です。

夏休みはたったの16日しかないけれど、リラックスして過ごせるようにしたいと思います。

31日の夕食時のことです。

今日学校であったこと、先生がこう言ったという話が尽きないSun。

「楽しそうで良かった〜」というと、

「うん!楽しいよぉ。

2学期が待ち遠しい!!」とSun。

「先週までと、何が変わったんだろう?」と言うと

「うんとね、生まれ変わったの。命が変わったの。」と表現したSunなのでした。

きっと、ずっと心に抱えていた思いを吐き出したことが、

「命が変わった」とまで言えるくらい彼女にとっては大きなことだったのだなぁ、と思いました。

先日、私の好きな俳優だった三浦春馬さんが急逝されました。

彼にはきっと、こうして心の重石を吐き出せる場がなかったのだろうな…と思うにつけ、哀しみが募ります。

家庭の在り方、母親の在り方が、

その子の人生を左右すると思うと、

背筋が伸びます。

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