昨日自宅ポストに近所の塾の勧誘チラシが届いていました。
その中に、こんな問いが書かれていましたが、皆さんは分かりますか?
ラケットはボールより1,000円高いです。
では、ボールはいくらでしょう?
これはボールをxとすると。
x+(x+1000)=1100
2x=1100-1000
2x=100
x=50
ボールは50円ということになります。
これは中学1年生でならう一次方程式です。
Sunは同じくこのチラシを目にして、
この問題、かんた~ん!ボールは50円でしょ?
え?!すぐ分かったの?
私はさ、100円って間違えたよ~
それじゃあ、ラケットとのちがいは900円になっちゃうじゃん?
1000円高くて、ふたつで1100円でしょ?
残りの100円を50と50の二つにわければいいんだよ。
こう解説してくれた訳です。
塾のチラシにはこう書かれていました。
それだと、ラケットは1,000円高いので1,100円になり、
合計1,200円になってしまいます。
正解:ボールは50円。
ラケットは1,050円なら合いますね。
実は、多くの人が真っ先にボールは100円だと思ってしまうのです。
この説明より、Sunの説明の方が分かりやすいじゃん!
と思ってしまった親バカでしたが💦
帰宅した夫にもこの問題を出したSun。
見事に夫も
え?100円じゃないの?!
とひっかかりまして、おまぬけは私だけじゃなかった・・・
とホッとしてしまったのです。
塾のチラシには、「我が塾ではこうした間違いを心理学に基づいて対策します!」と謳っていました。
Contents
速い思考と遅い思考
2002年にノーベル経済学賞を受賞した、
行動経済学者で心理学を研究したダニエル・カーネマンの著書
この著書では、人間の思考の二つのモードについて書かれているそうです。
(私もまだ読んだことはないのです)
一つは、見た瞬間に答えを出すシステム1の思考つまり「速い思考」があります。
システム1:速い思考
直感や経験に基づいて、反射的に判断をする思考モードです。
車の運転をしていて、看板を読んだり、音のする方を感知したりしている思考モードのこと。
これは、動物にも備わっており、近づく危険に瞬時に判断して、
回避する必要があるためです。
この思考には労力が要りません。
いわゆる省エネモードなので、無意識だとすぐにこちらを使おうとするものなのです。
その理由は、脳というのはエネルギー効率に関して非常に敏感だからです。
脳の質量は体重の2%しかないにも関わらず、
体内で使われるエネルギー(グルコース)の約25%は脳で消費されると言われています。
ですから、人は無意識に省エネ運転をしようとして
システム1(速い思考)で物事を考えてしまいがちなのです。
私も夫もシステム1を作動させて考えてしまった、というワケです💦
システム2(遅い思考)
一見して複雑な問題を前にした時や、聞こえてきた言葉が何語かを聞き分ける、
人ごみのなかを相手にぶつからないように、かつ目的地を意識しながら、慎重に進む・・・
といった慎重に注意して考える働きのことです。
当然ながら、集中力や論理的思考力を必要とするので、労力を必要とする面倒なことなのです。
どんぐり問題では、このシステム2の遅い思考力を鍛えてくれることは、
Sunの問題を解く様子から明らかですね。
高速計算練習などをしてしまうことは、システム1の速い思考(反射)を強化します。
私の懸念するタブレット学習などでごく簡単な計算問題を解いて
「ピロン♪正解!」と積み重ねることは、システム2の遅い思考の育成を妨げるのです。
脳の大原則
こちらの書籍によると、
人間の脳は「Use it or lose it」と呼ばれる大原則で動いています。
日本語にするなら「使わなければ失くすだけ」といったところでしょうか。
(中略)
自律する子の育て方P33~
森のケモノ道をイメージするといいかもしれません。
何度も通っている道は草や枝などの障害物が減りスムーズに通ることができるようになります。
すると自然とその道が使われるようになり、さらにスムーズに往来できるようになります。
しかし、逆にその道を使わない期間が長くあると雑草が生えて通りづらくなり、
最終的には道がなくなってしまいます。
一度塞がった道を切り開くのはかなりの労力を要します。
人の脳の中でもこれと同じことが起きています。
よく使う神経回路ほどスムーズに電気信号を通すことができるようになり、
逆にあまり使わない神経回路は脳が切り捨てていくのです。
9歳の壁、小4の壁を作らないためには、
言葉によるコミュニケーションを丁寧に行うこと。
そして、どんぐり問題のような題材にし楽しみながら、
絵図に描き起こし、
その絵図を移動・変形・比較させながら具体的に考える習慣をつけることが、
本当に必要であることをしみじみと感じたのでした。
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